今日の社説

2017/08/18 00:19

白山車両所の活用 JR西の協力が欠かせない

 北陸新幹線の白山総合車両所を観光と産業振興に生かすための検討が進んでいる。自民党は来年度政府予算に実現に向けた施策を盛り込めるようプロジェクトチーム(PT)で対応を詰める。東京五輪が開かれる2020年の夏までに白山総合車両所の恒常的な公開を目指すという。

 自民党は全国で総合車両所を活用する方針を示しているが、まず白山をモデルケースに位置付けて施策を具体化するのは心強い。それに比べて気になるのは、JR西日本の姿勢である。

 JR西日本は日を限定して白山総合車両所を公開してきたものの、現状以上の活用には難色を示している。車両所を常時公開して観光と産業振興に生かす場合は運営主体の協力が欠かせない。JR西の理解を得られるような知恵と努力が求められている。

 車両所の活用構想は3月に白山駅の新設が見送られた際に浮上した。その後、自民党はPTを設け、白山、能美、野々市各市と川北町は振興策の協議に入った。北陸信越運輸局も調査を進めている。

 これに対してJR西は慎重姿勢を取り続けており、来島達夫社長は4月の会見で、安全に見学するための施設整備が「難しい課題」と述べた。5月の会見では、作業の流れと量を考えると、現行の週2日を上回る受け入れや常時公開は「困難」としている。

 JR西が「産業観光に水を差すつもりはない」と前置きした上で、安全への影響を懸念するのは理解できる。本来の業務でない活動に経営資源を割くのは避けたいと考えるのも企業として当然だろう。

 それでも新幹線の車両と整備の様子を間近に見ることができる施設には、他では得難い魅力がある。周辺の産業や自然と組み合わせて活用すれば、地域にも効果が及ぶだろう。JR西にとっても整備に力を入れる様子は信頼の確保につながるのではないか。

 北陸新幹線の整備費には国費のほかに沿線自治体の負担分も充てられている。沿線は並行在来線の経営も受け入れてきた。JR西日本も地域の期待に配慮してほしい。沿線に活力が出れば、新幹線の収益力も上がるに違いない。

トランプ発言の波紋 国家の分断につながる

 トランプ米大統領がバージニア州での白人至上主義者と抗議した人たちの衝突をめぐり、「双方に責任がある」と発言したことに波紋が広がっている。トランプ大統領は双方が暴力的だったことを指して、こんな言い方をしたのかもしれないが、両者を同等に扱う発言と受け取られかねない。ワシントンポスト紙などが「白人至上主義者に同情的だ」と批判するのは当然だろう。

 トランプ大統領は、大統領選を通じて、人種対立をあおり、格差拡大に不満を抱く白人層を巧みに引き寄せ、強固な支持基盤にしてきた。それは選挙を戦う手段として思惑通りに作用したのだろうが、大統領となった今、白人至上主義を認めるかのような発言は有害であり、多民族国家である米国の分断につながりかねない。

 トランプ大統領が人種差別主義者を擁護する立場を取り続けるならば、日本にとっても大きな懸念材料である。

 北朝鮮がミサイル実験を繰り返すなか、トランプ政権は武力攻撃の可能性を繰り返し表明している。気掛かりなのは、米大統領補佐官が米メディアのインタビューで「予防戦争もオプションの一つ」と語ったことである。

 米本土に被害が及ぶ前に北朝鮮をたたく戦略であり、米政治専門誌は、リンジー・グラハム上院議員と一部のホワイトハウスの高官の声として「カリフォルニアで犠牲者が出るよりも北東アジアで犠牲者が出る方が良い」と報じた。

 米国が「予防戦争」を行った例は、イラク戦争とされる。同誌は北朝鮮に対し、予防戦争を仕掛ける可能性は極めて低いとしているが、「北東アジアで犠牲者が出る方が良い」とする発言は聞き捨てならない。人種差別を容認するかのようなトランプ大統領の政治姿勢と重ね合わせると、余計に不気味さが増してくる。

 安倍晋三首相とトランプ大統領の関係は良好で、先ごろも電話会談を行うなど密接に連絡を取り合っている。だが、トランプ大統領の口から白人至上主義を明確に否定する声が出てこなければ、日米関係にも暗い影を落とすだろう。