今日の社説

2018/12/11 00:56

敦賀以西の財源 JR西の積極貢献を期待

 北陸新幹線敦賀以西の財源論議が始まった。自民党のプロジェクトチーム(PT)が1年程度をかけて建設財源の確保策を検討する。国の鉄道予算が1千億円程度にとどまる現状で、新規着工の財源を捻出するのは容易でない。それでも北陸新幹線の延伸効果は大きく、早期開業を実現する知恵を出してほしい。

 敦賀以西の財源確保に向けて国費とともに増額を期待したいのはJRの負担である。延伸の利益を受けるJR西日本の姿勢を見極める上で、来島達夫社長が「全線開業に向け、力を結集したい」と述べたことに注目したい。

 この発言はJR西が大阪市で開いた関西・北陸交流会の後に取材に応じる中で出た。新幹線の建設財源を確保するためには地元の熱意が欠かせない。敦賀以西では関西が地元になる。全線開業を早めるために、関西の沿線関係者が総力を挙げなければならない大事なときに、JR西の社長が大阪で関係者の力を結集する姿勢を示したのは心強い。

 新幹線の建設財源は国と地元自治体とともにJRの負担を柱にして構成されている。JR西日本が早期開業に向けて関係者の力を結集するのであれば、何より肝心な財源の確保で積極的な貢献が求められるだろう。

 来島社長は11月の与党PTに出席した際に、敦賀-新大阪の建設費について負担の変更に応じる考えを示唆した。工事中の金沢-敦賀で建設費の上振れ分を賄うための追加負担に応じないと繰り返しているのは残念であるが、敦賀以西の新規着工区間で協力する姿勢を示したのは歓迎できる。難航必至の財源論議を前に進めるために、JR西日本は率先して負担の増加に応じてほしい。

 JR西日本の業績は北陸新幹線の金沢開業によって上向いた。財務省や沿線自治体からJRの建設費負担を増やすように求める声が上がるのも当然と言える。

 北陸新幹線が大阪まで延びると、JR西の収益はさらに増えるだろう。大阪開業が早まるほど業績も早く上向くはずだ。JR西は敦賀以西の財源確保で求められる役割が大きくなっていることをしっかり認識してほしい。

中国通信2社排除 安全保障最優先の判断か

 政府は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を政府調達から事実上除外する方針を決めた。

 菅義偉官房長官は、情報の窃取や破壊、情報システムの停止など「悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないことが重要」と一般論を述べる形にとどめているが、中国通信大手2社の製品が、中国政府の不正な情報収集などに利用されている疑いが強いことを認めたものであり、国の安全保障を最優先した判断であろう。

 ファーウェイは通信基地局の世界トップ企業で、ZTEとの2社で世界の携帯通信インフラ市場の4割を占める。ファーウェイのスマートフォン販売も7~9月期に米アップル社を上回り、世界2位となった。第5世代(5G)といわれる高速大容量の次世代通信網開発もリードしており、中国政府の長期戦略「中国製造2025」の中核を担う企業である。

 トランプ米政権は、中国が情報通信の主導権を握ることを強く警戒しており、技術覇権争いの様相であるが、米議会は2012年ごろから、中国製通信機器を通じて軍事や産業の機密情報が盗まれる危険性を指摘しており、今年8月にようやく、ファーウェイ製品などの政府調達を19年8月から禁ずる国防権限法を成立させた。

 中国通信大手に対する危機感は同盟国のオーストラリアやニュージーランドも共有し、両国とも5G通信網の整備でファーウェイの除外を決めた。英国の通信大手も同様の方針を示している。中国政府は強く反発しており、日本が同様の措置を取れば、日中関係改善の動きに水を差すことになりかねず、日本製品不買運動の報復を恐れる声も出ている。それでも安全保障上の脅威に目をつむることはできず、同盟国の米国に歩調を合わせるほかあるまい。

 政府はファーウェイなどの名指しを避け、国内企業の対応について触れていないが、携帯電話大手3社は政府に同調の方向という。中国側が通信傍受疑惑などを払拭できない限り、国際的な排除の動きは止まらないであろう。