今日の社説

2019/05/24 01:04

敦賀以西の建設財源 早期着工願うJR西に期待

 北陸新幹線の建設財源を巡って、JR西日本の来島達夫社長の発言に注目したい。JRが国側に支払う新幹線施設の使用料(国側から見れば貸付料)について、未着工の敦賀-新大阪では増額を拒む姿勢をみせなかったからである。

 JRが支払う貸付料は国と地方の負担とともに新幹線の建設財源に充てられる。財務省はJRの負担を増やすために、貸付料の算定期間を現行の30年から50年に延ばす案を示した。

 この点について来島社長は定例会見で、建設中の金沢-敦賀では30年の約束を守るべきとの認識を述べた。その一方で敦賀以西については、貸付料も対象となる財源論議に「積極的に参画させていただく」との姿勢を示した。

 積極的な参画とは、JR西の負担増につながる貸付料延長の議論にも応じるということだろう。全線開業を早めるためには、財源確保でJRの協力が欠かせない。その意味で、財源論議に積極姿勢をみせた社長の発言は心強い。

 会見で来島社長は敦賀以西の着工を「ぜひお願いしたい」とも述べ、大阪までの全線が早く整備されるように求めた。貸付料延長に向けて、早期着工を願うJR西の積極的な協力を期待したい。

 北陸新幹線の投資効果と収益力の大きさは金沢開業で実証された。全線開業すれば、収益はさらに伸びるだろう。大阪延伸が遅れると、その分、JR西の業績向上も後回しになる。チャンスを早く手に入れるために、JR西が建設費の負担増と引き換えに早期開業を実現するのは、理にかなわない話ではない。

 北陸新幹線は沿線に経済効果を広げるが、直接、利益を得るのは運行会社である。敦賀以西のルートがJR西の希望に沿う形で決まった経緯もある。JR西は建設の当事者になったつもりで財源論議を前に進めてほしい。議論に参画し、運行会社の意向と事情を反映させた方が得策とも言える。

 財源を検討する与党はJR西の協力を追い風にして財源確保に道筋をつける必要がある。そのためには、国費の増額が求められる。与党プロジェクトチームの手腕が問われる局面である。

台湾海峡に米軍艦 中国の武力統一に警戒心

 横須賀港を拠点とする米海軍第7艦隊の艦船が22日、台湾海峡を通過した。米海軍艦船の台湾海峡航行は5カ月連続である。中国の軍事的圧力を受ける台湾を防衛し、インド太平洋地域に関与し続けるトランプ政権の強い意思を示すものである。

 日米安全保障条約は本来、台湾海峡の安定を維持することを大きな目的としており、米海軍の「航行の自由」作戦を日本も支えなければなるまい。同時に尖閣諸島の警戒を強める必要もある。

 安倍晋三首相と習近平国家主席は、日中関係について「正常な軌道に戻った」との認識で一致し、新たな関係に引き上げることをめざしているが、中国は尖閣諸島の日本主権を覆そうという動きを強めている。今月23日まで42日間連続で接続水域を航行する中国公船の動きは尋常ではなく、決して気を緩めることはできない。

 米海軍が台湾海峡の艦船航行を増やした背景には、習氏が武力による台湾統一を否定しなくなったことがあろう。「一国二制度」による統一に断固反対する蔡英文・台湾総統に圧力をかけるため、中国軍は2017年夏ごろから、空軍機を頻繁に台湾周辺に接近させて挑発するようになった。

 このため、米国防総省は習指導部の台湾政策に警戒心を強め、平和統一を唱えながらも軍事力行使の選択肢を捨てていないとの見方を年次報告書で示している。

 22日に台湾海峡を通過したのは第7艦隊の駆逐艦と給油艦で、米軍は「自由で開かれたインド太平洋への米国の関与を示すものだ」と強調している。

 台湾の蔡政権にとって心強いのは、米海軍に呼応してフランス海軍も4月にフリゲート艦を台湾海峡に送り込み、航行の自由という「海洋上の権利」を実際に行使してみせたことである。フランスは南太平洋の諸島に領土を持っており、中国の海洋進出に懸念を深めている。

 今月インド洋で初めて実施された日米仏豪4カ国の海上共同訓練は、中国をけん制すると同時に、独立志向の蔡政権に対する間接的な支援ともなろう。