今日の社説

2020/11/28 00:32

北陸のホテル苦境 コロナ再流行で不透明感

 新型コロナウイルスの感染拡大による売り上げの低迷で、北陸でもホテル、旅館の営業停止や経営破綻などが目立ち始めた。国の観光支援事業「GoToトラベル」の追い風を受け、客足は戻ってきてはいるが、全国的に再流行の兆しが見え始めたことで、先行きには不透明感が漂っている。

 今月、事業停止し、自己破産申請の準備に入った旅館「加賀八汐(やしお)」(加賀市)の場合、社員、契約社員、パート従業員ら約30人に解雇通知が出されている。北陸三県で、コロナ禍を受けて、温泉旅館が経営破綻したのは初めてのことだ。自治体など関係機関は、再就職希望の従業員への支援に手を尽くしてほしい。

 地域への影響が大きいのは、都市型ホテルとしては富山県内で最も長い歴史を誇る「富山第一ホテル」の営業停止である。富山市の中心に位置し、各種会合やイベント、披露宴などに利用されてきた。街なかに活気をもたらしてきた老舗ホテルが来年3月末で消えてしまうのは、地元にとってはショックだろう。

 ホテルを経営している富山アメニティシステム(富山市)は地上13階、地下1階の建物を当面、解体せず、周辺で浮上している再開発計画に加わる意向という。富山城址公園を望む一等地に建つ大型物件だけに、県や市は再開発の動向を注視してもらいたい。

 北陸新幹線の開業に合わせてホテルの開発ラッシュに沸いた金沢市でも状況は一変し、金沢駅前のホテル「ユニゾインエクスプレス金沢駅前」が、10月末で閉館した。4月には全国でカプセルホテルを展開するファーストキャビン(東京)が自己破産し、ホテル「ファーストキャビン金沢百万石通」が閉館している。

 帝国データバンクによると、26日現在で新型コロナの影響を受けたホテル、旅館の倒産件数は67件で、業種別では飲食店の116件に次いで多い。富山第一ホテルの場合、今年1~10月の売り上げは、主力の宴会部門が前年比7割減、宿泊部門が4割減に及んでいる。コロナ禍がホテル業界に及ぼした負の影響がいかに大きいかを物語る数字だろう。

宇宙開発競争 新たな国際ルール必要に

 米中を中心にした宇宙開発競争が激しさを増している。米国の民間宇宙船が国際宇宙ステーションへの飛行を成功させたのに続き、中国が無人月面探査機を打ち上げ、月の土壌の持ち帰りに挑んでいる。

 米国も有人の月探査計画に力を入れていることから、月の水資源開発などが現実味を帯びており、宇宙資源に関する新たな国際ルールが必要になっている。

 宇宙開発に取り組む各国は、宇宙資源の調査・開発や所有権に関する国内法の整備も求められており、自民党の宇宙・海洋開発特別委員会は先ごろ、議員立法の「宇宙資源法案」をまとめた。超党派の議員連盟も同様の法案を目指しており、与野党が協調して成立させてもらいたい。

 宇宙開発に関する国際ルールとして、主要国が批准した「宇宙条約」がある。同条約は「月その他の天体を含む宇宙空間」を所有する権利を否定しているが、天体で採取された資源に関しては明確な規定がない。個人や企業の所有を認めない国連の「月協定」はあるものの、主要国が参加していないため実効性に乏しく、現状では月にあるとされる水資源などの奪い合いが懸念されている。

 米航空宇宙局(NASA)は昨年、2024年に宇宙飛行士を月に送る「アルテミス計画」を国際協力の下で実施すると発表した。米国に対抗するように、中国も月面での無人研究基地建設や有人探査機の着陸計画を発表しており、探査競争の激化と資源の争奪戦は必至の状況である。

 新たな宇宙ルールをめぐる動きでは、米国のほか日本や英豪などアルテミス計画に参加する国が先ごろ、宇宙資源の利用を含め、平和を目的とした活動原則に合意、署名したことが注目される。合意に法的拘束力はないが、今後の宇宙探査や資源開発に関する国際ルールづくりで主導権を握ることに大きな狙いがある。

 バイデン次期米政権は、トランプ政権が打ち出したアルテミス計画推進のアクセルを踏むのか、緩めるのかの判断を計画参加国に示す必要があろう。