今日の社説

2019/07/18 00:42

いみずサクラマス 地産地消で特産化に弾みを

 射水市が新たなブランド化を目指す「いみずサクラマス」の認知度を高める多彩な取り組みが、地元で盛り上がってきた。先ごろ、庄川を代表する魚として知られるアユといっしょに賞味するイベントが開かれたほか、サクラマスを隠し味に使ったラーメンなども発売された。まずは地元が地産地消でその魅力を実感し、特産化に弾みを付けたい。

 射水市では2013年から大門漁協と堀岡養殖漁協が連携して養殖を開始し、15年に完全養殖に成功、昨年は陸上養殖で7千匹を出荷した。庄川の地下水で採卵して稚魚を育てた後、くみ上げた富山湾の中層水を使い陸上のいけすで育てるため寄生虫がつきにくく、生食で提供できる特長がある。

 昨年から、陸上施設に加え、沖合にいけすを設置して海上養殖をスタートさせた。そこで育ったサクラマスが、今年春に初出荷されたように、質、量ともに充実した出荷体制になってきた。

 ただ地元でも、まだまだ知名度が高いとは言えず、同市大門地域振興会では、住民を対象に、従来から開催してきた「あゆ祭り」にサクラマスを加え、大門にルーツを持つ二つの味を食べ比べる「大門あゆ・サクラマス祭り」に拡充して開催し、好評を得た。

 このほか地元ラーメン店が漁協の協力を得て、スープのだしにサクラマスのあらを使って風味豊かなラーメンを売り出し、白エビバーガーで知られる道の駅では、サクラマスを使ったハンバーガーを新名物にと意気込む。いずれもここでしか食べられないメニューとして評判になれば、全国から食通を呼び込む上でも効果は大きい。

 サクラマスの身に麹(こうじ)と塩を混ぜて約4カ月間発酵させ、うま味を凝縮したみそを開発した業者もあって、加工品開発にも力が入ってきた。地元からさまざまな切り口で需要を高めるアイデアが出てきたことは、足腰の強いブランドを目指す上で心強い。

 秋に海王丸パークなどで開かれる「世界で最も美しい湾クラブ」総会は、サクラマス関連産品を発信する上で絶好機となる。自信をもってアピールする上でも、わがまちの味として定着させたい。

和牛の遺伝子管理 自治体の役割と責任重く

 和牛の精液や受精卵などの「遺伝資源」を守るため、農林水産省の検討会が、流通管理の強化策をまとめた。農水省はこれを受けて家畜改良増殖法の早期改正を目指している。

 和牛の遺伝資源をめぐっては、精液と受精卵を不正に中国に持ち出した男2人が、家畜伝染病予防法違反罪などで大阪地裁で有罪判決を受けたばかりである。長年にわたって改良を重ね、肉専用種として確立された和牛は「わが国固有の財産」である。海外への不正流出を防ぐため、速やかな法改正が必要である。

 和牛遺伝資源の流通管理に関する農水省検討会の提言は、流通履歴の記録・保管を法律で義務化することが柱となっている。現行家畜改良増殖法では、精液の生産や受精卵の生産・利用を行う場合、それぞれ「種付台帳」と「家畜人工授精簿」に記録し、保管することが義務づけられている。

 種付け用牛の選定や人工授精などの作業は、獣医師と家畜人工授精師に限られ、採取した精液や受精卵の証明書には、譲渡者と譲受者を記載することになっている。しかし、譲渡・譲受など流通履歴を帳簿に記録し、保管することは義務化されておらず、履歴を管理するトレーサビリティー制度としては不十分である。

 また、精液の生産本数や譲渡先などの情報は、国や家畜改良センターの検査員が「種付台帳」で確認する仕組みになっているが、受精卵についてはそうした制度がない。このため検討会は、国や都道府県が精液と受精卵の生産・流通・利用に関する情報を定期的に確認するよう求めた。

 さらに、家畜人工授精所でなければ精液や受精卵を他人に販売してはならないことを法律に明記することや、違反した際の罰則強化も提言に盛り込まれた。

 和牛遺伝資源を知的財産として保護することは、国際的なルールがないなどの理由で現状では困難という。現制度で適正に業務を行っている関係者には負担増となるが、海外への不正流出防止には、家畜改良増殖法改正による管理強化が必要と理解したい。