今日の社説

2019/12/14 01:18

JDI資金調達 不安要素の払拭を急がねば

 経営再建中の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)で、迷走を続けてきた資金調達にようやく見通しが立ちそうだ。独立系投資顧問会社いちごアセットマネジメントが800億~900億円の金融支援をすることで両社が基本合意した。これにより米国のアップル、台湾のウィストロンと合わせ計1100億円規模の支援を得られることになれば、再建が大きく前進する。半年近く停止している白山工場(白山市)の再稼働も光が見えてきた。

 いちごアセットは日本株を中心に長期運用しており、スコット・キャロン社長は金融庁の企業統治に関する有識者会議や経済産業省のプロジェクトに加わったことのある日本通という。いちごは「一期一会」に由来する。当初500億円の出資から大幅に増額したのは再建への本気度と受け止めてよいだろう。実現すれば、いちごアセット側が強い発言力を持ち、経営陣に加わる可能性もあるが、今は資金繰りのめどを立てることが最優先される。早急に財務基盤を整え、本業の立て直しに傾注しなければならない。そのためにも不安要素の払拭が急務である。

 一番気がかりなのは元幹部が指摘した不適切会計だ。特別調査委員会を設けて対応しているが、元幹部が死亡したことで解明が長引けば信用失墜を招く。スピード感を持って進める必要がある。

 これまでJDI支援のやぐら組みは二転三転してきた。いちごアセットとは来年1月中に最終契約し、2~3月に資金調達する工程を着実に進めてほしい。今回の会見では株式保有を含め詳細な出資内容が提示されず、いちごアセット側の同席もなかった。白山工場の再稼働についても今年度末までに判断するとの発言は従来と変わらず物足りない。アップルが一部設備購入を検討していることに伴う白山工場の見通しを少しでも示せなかったか。

 JDIは、今回の支援は高い技術力が評価されたと受け止めている。ただ、主力のスマホ事業は競争激化で環境は厳しさを増している。成長分野へのシフトを含め、生き残るための事業再構築も待ったなしの状況にある。

与党勝利の英選挙 長期の混迷に終止符を

 英下院の総選挙で、英国民は改めて欧州連合(EU)からの離脱の道を選んだ。来年1月の離脱を訴えた与党保守党が単独過半数を獲得した選挙結果は、国民投票による離脱決定から3年以上も続く長期混迷に終止符を打つべきという英国民の意思表示とも言える。

 国際社会にとって、ひとまず安堵(あんど)できるのは、保守党勝利で「合意なき離脱」という最悪事態を回避できる可能性が大きくなったことだろう。

 EU離脱の是非を問うた2016年の英国民投票は、離脱51・9%、残留48・1%という結果であったが、英議会は▽EUからの独立を重視するジョンソン首相ら強硬離脱派▽EU残留派▽EUとの緊密な関係維持を望む穏健離脱派に割れ、反目し合った。

 このため、メイ前首相がEUとまとめた離脱協定案は議会で否決され、辞任に追い込まれた。ジョンソン氏が合意した新たな協定案も拒否され、そのたびに離脱期限の延期を繰り返してきたが、今回の総選挙の与党勝利は、新たに提示した離脱協定案も含めてジョンソン氏が支持された結果と受け止めなければなるまい。

 EUとの離脱協定では、英領北アイルランドと、EU加盟のアイルランドとの往来や通関の在り方が難問とされてきた。これまでは保守党も一枚岩とは言えず、党内には残留派やジョンソン氏に反発する穏健離脱派も存在するといわれてきた。が、ジョンソン氏は全ての候補者から協定案支持の確約を得ているという。総選挙後も離脱協定の内容をめぐる対立と混迷で「決められない政治」が続くようでは、英国民だけでなく国際社会をも失望させよう。

 また、離脱後もEUとの自由貿易協定(FTA)など外交や安全保障関係の交渉が待っている。分断された英国を「一つにまとめる」というジョンソン政権の真価がこれから問われる。

 英国は日本との新たなFTA締結や環太平洋連携協定(TPP)への参加も検討している。EU離脱後の新たな日英関係の構築を抜かりなく進めたい。