富山新聞社より | 北國新聞社

今日の社説

2018/08/21 00:53

富富富の概算金決定 全農は販路の確保に全力を

 今秋の市場デビューを控える富山米新品種「富富富(ふふふ)」の生産者に支払う概算金について、全農富山県本部は1等米60キロ当たり1万4500円とすることを決めた。主力銘柄のコシヒカリを1500円上回る価格設定であり、富富富を富山のトップブランド米に育てようという全農県本部の強い意気込みがうかがえる。

 概算金は委託販売契約を結んでいる生産者が出荷時に受け取る仮払金で、市場価格が決まる際の参考になるとされる。概算金に見合う価格で全量を売り切るために、全農県本部は県とも連携して、販路の確保に全力で取り組まなければならない。

 富富富の概算金が1万4500円に決まったことについて、生産者からは「高値でありがたい」と歓迎する一方で、「1万5千円超えを期待していた」と落胆する声も聞かれるという。確かに、2017年産米では新潟産「新之助」の概算金が1万7200円、福井産「いちほまれ」の買い取り価格が1万5千円となっており、これらに比べて富富富の価格設定は控えめな感がしないでもない。

 ただ、各産地がこぞって新品種のプレミアム米を市場に投入し、年を追うごとに競争が激しさを増している現状を考えると、富富富の販売も決して容易ではないだろう。全農県本部は、コメの需給状況や他産地の販売動向を考慮して富富富の概算金を決めたと説明しており、控えめな価格設定も販売戦略の一環と受け止めたい。

 生産者には、他産地のプレミアム米に負けない高品質の富富富の栽培に全力を挙げてほしい。全農県本部によると、富富富の生育状況は順調で、天候に恵まれたことから試験栽培した昨年産より1週間ほど早い9月8日ごろに成熟期を迎えるという。まずは1等米比率を少しでも高めることが大事であり、これからの約1カ月が胸突き八丁となる。

 県は既に、10月中旬から県内外で富富富を一斉に販売する方針を示し、首都圏を中心に認知度向上に向けた取り組みを強めている。生産者、全農、県がそれぞれの役割を全うし、万全の態勢で市場デビューを迎えたい。

利用好調な金沢港 富山新港も負けられない

 金沢港の利用動向が好調に推移している。貨物では、今年上半期の国際コンテナの取扱量が過去最多を更新した。伸びが著しいクルーズ船は今年も高水準の寄港数が予定されている。

 とはいえ、金沢港の需要が貨物と旅客の両面で活発になるまでは幾多の曲折があった。先行きについても北陸の成長に貢献し続けると楽観することはできないだろう。2年後には開港から50周年を迎える。節目に向けて、次の時代を見据えた港湾戦略を考える必要があるのではないか。

 戦略の練り直しが求められるのは今年、一足早く開港50周年を迎えた伏木富山港の富山新港も同様である。7月の記念式典で、石井隆一知事は「東アジアのゲートウェイ(玄関)」としての機能を高める考えを示した。具体策として挙げたのは、ロシア極東港とシベリア鉄道を結ぶ輸送ルートや北極海航路の活用である。

 北陸環日本海経済交流促進協議会(AJEC)がまとめた2017年の「北陸の港湾貨物取扱量実績」などによると、北陸三県にある伏木富山、金沢、敦賀の主要3港湾のコンテナ貨物の取扱量は前年比2・8%増と過去最多だった。

 内訳は、伏木富山が5万4877TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)、金沢が4万6349TEU、敦賀が2万8360TEUと、伏木富山はトップの地位を保ったが、伏木富山の5・2%増に対し、金沢は7・2%増と、伸び率は金沢が伏木富山を上回った。敦賀は7・4%減と落ち込みが激しい。

 金沢港にとって、コマツの存在は大きく、粟津工場に在籍した経験のある経営陣が金沢港の利用に積極的なことが支えになった。クルーズ船の寄港も増えており、追い風が吹いている。

 富山新港でも年度内に岸壁が75メートル延伸する工事が完成すれば、1・2万トン級のコンテナ船の同時接岸や同時荷役が可能になる。金沢港と切磋琢磨しながらも、常に一歩先を読みながら、北陸一の国際コンテナの取扱量を維持していきたい。