富山新聞社より | 北國新聞社

今日の社説

2018/08/22 01:08

新幹線で知事要望 北陸と関西が気持ち一つに

 北陸新幹線の建設費増加を受けて、北陸三県と京都府などが政府と与党に緊急要望を行った。金沢-敦賀の建設費が2260億円増えるため、不足分の確保と地元負担の軽減を求めた。

 これに対して石井啓一国土交通相は2019年度政府予算の概算要求で財源確保に取り組む方針を示した。23年春の敦賀開業を遅らせないという国交省の意思を確認できたのは何よりである。

 緊急要望には石井隆一知事と石川県の谷本正憲知事、福井県の西川一誠知事が参加した。予算編成が本格化する前に、北陸の知事がそろって動いたのは財務省に熱意を示す上でも意味があった。

 気になるのは関西の姿勢である。京都府からは国交省出身の舟本浩副知事が緊急要望に参加したが、大阪府の代表はいなかった。関西側から建設費の上振れに対する危機感や早期開業の期待が切実に伝わらないのは残念である。

 敦賀-大阪の建設には2兆円超が必要と試算されている。多額の財源を求めなければならないときに、北陸と関西に温度差があるようでは説得力に欠ける。正念場を前にした今は、北陸と関西が気持ちを一つにするときである。

 北陸と関西がしっかり手を組んでほしいのは今後、関西が敦賀以西の着工に向けて多くの課題に直面するからでもある。難しいのは建設費の地元負担である。北陸三県は北陸新幹線の整備凍結を解除するために建設費の一部を負担する条件をのんだ。

 しかし、京都と大阪では地元負担がすんなり合意されるかどうかは分からない。関西側の調整が難航するときは、北陸三県が経験を生かして側面支援に動けるように連絡を密にしてほしい。

 前途に課題は多いが、北陸新幹線が新大阪駅までつながれば関西の経済圏は拡大する。その利点を大阪府の松井一郎知事と京都府の西脇隆俊知事はどこまで認識しているのだろう。

 石井国交相は敦賀-大阪の詳細なルートを18年度中に公表する意向を示した。どこを走るのかが見えてくると、関西でも北陸新幹線が現実味を増すはずだ。沿線の府県で意思疎通を図るのに、いいタイミングではないだろうか。

ドローン解禁 過疎地の荷物輸送に威力

 小型無人機「ドローン」を活用した荷物の配送事業が年内中にも中山間地や離島などの過疎地に限って解禁される。一定の条件を満たせば、操縦者の目が届かない場所を飛ばすことが可能になり、実用性が一気に高まるだろう。北陸では能登や立山、白山周辺などで、荷物輸送に威力を発揮する場面が見られそうだ。

 ドローンは、災害発生時の状況把握にも役立つ。県は9月2日に高岡、射水、氷見の3市計9会場で実施する総合防災訓練で、初めてドローンによる災害現場の生中継を実施する。

 土砂崩れなどの現場を上空から詳細に調べることができれば、短時間で復旧計画が立てられる。災害や事故現場なら、必要な資材や食料を積んで飛ばし、救助を求める人に届けることも可能になる。

 ドローンは物流や監視業務、在庫管理などさまざまな分野で活用され、実用化が進んでいる。荷物輸送や災害現場での利用を通じてノウハウを蓄積し、行政サービスの向上に役立ててほしい。

 ドローンの飛行は現在、操縦者が常に目視で機体を確認できる範囲に限られているが、今年中にも高度150メートル未満の「山や川、海などの人が立ち入る可能性が低い場所」に限り、目が届かない場所でも飛行できるようになる。

 過疎地での飛行解禁に向けて、熊本県の天草諸島で行われている輸送の実証実験では、ヘリコプタータイプのドローンが自動航行し、重さ1キロの荷物を6・5キロ離れた離島に運んだ。全地球測位システム(GPS)などを使うことで、誤差が少なく、決められたスペースに離着陸したという。

 NTTドコモは、携帯電話のネットワークを活用し、長距離飛行が可能なドローンを用いた買い物代行サービスの実証実験を始めている。

 高齢化や単身世帯の増加と、既存商店街の衰退で、食料品の購入に苦労する「買い物弱者」が増えている。人手をかけず、荷物を運ぶサービスが可能になれば、買い物弱者の救済だけでなく、ドローンを使ったさまざまなサービスが生まれてくるのではないか。