今日の社説

2021/01/24 00:36

除雪態勢の検討 消雪装置に不足はないか

 富山県内を襲った記録的な大雪で、県は車の渋滞や立ち往生が続発したことを受け、交通対策を検討する会議を発足させた。来月上旬に専門家の意見を聴いたうえで、来月中に中間報告をとりまとめる。

 同会議では、道路の除雪態勢、積雪や道路の状況把握、公共交通機関の除雪対応、情報提供の4点をポイントに挙げ、担当者が状況を説明した。新田八朗知事は会合後、「結果責任は私にある」と県民にあらためて陳謝し、各部局がそれぞれベストを尽くすことができたのかを検証したいと語った。県政にスピード感を持ち込みたいと常々話していた新田知事の迅速な対応は一定程度、評価すべきであろう。

 検証作業の焦点は、県が定める除雪車の出動基準が妥当かどうかである。県は原則、積雪量が10センチを超え、さらなる降雪が予想される場合に出動し、日中は交通規制に伴って渋滞を招く恐れがあるとして、深夜から早朝にかけて作業すると定められている。

 今回の大雪のように、日中に観測史上最大を記録するような「想定外」の降雪時にも、この原則が通じるのかどうか。ここが最大のポイントとなろう。現実に、8日午後6時の段階で富山市内の積雪は82センチに達していたのに、除雪車は出動を見合わせていたことが果たして妥当な対応だったのかどうか、ということに尽きる。

 江幡光博県土木部長は会議で、「市街地は交通量が多く、日中の作業は困難」と述べ、日中に除雪車は出さないという県の基準は妥当との見解を示した。しかし、現に県民生活が雪によって脅かされたのは事実であり、今回の措置が緊急時対応として妥当だったのかどうかを検証する意味は大きい。

 さらにいえば、今回の会議で議題にならなかった県道、市道の消雪装置の設置、稼働状況がどうだったのかをよく検討してもらいたい。日中に除雪車が出せないのであれば、なおさら、降雪初期段階で消雪装置の稼働が重要になってくる。設置箇所、電力会社との契約、地下水位などを総合的に勘案し、必要なら設置箇所を増やすような措置を講じてもらいたい。

日本酒を無形遺産に 北陸の魅力を世界に発信

 日本酒や焼酎の世界ブランド化に向け、菅義偉首相は施政方針演説で、国連教育科学機関(ユネスコ)無形文化遺産への登録を目指すことを表明した。

 世界的に日本酒の人気が高まる中、価値ある食文化の視点から国際的評価が加われば、輸出の増加にも追い風になる。良質で多彩な美食と美酒を持つ北陸としては、コロナ後の外国人旅行客の誘致に弾みをつけるためにも、地酒の発信に力を入れたい。

 ユネスコの無形文化遺産には、昨年12月に石川の縁付(えんつけ)金箔や富山の茅(かや)採取などを含む「伝統建築工匠の技」が登録されたばかりであり、今後も豊作祈願や厄払いの踊り「風流(ふりゅう)踊」の申請が予定されている。茶道や神楽、書道なども登録を目指すなど、日本酒や焼酎のほかにも、日本からの申請がめじろ押しの感がある。

 日本酒や焼酎に関しては、こうじを用いた醸造技術に文化的価値が認められるかどうかが焦点となるが、2013年に日本の和食が登録されていることから、日本の食文化に欠かせない要素として、和食と一体でアピールしたい。

 文化庁は、芸能や工芸の分野で高い技術を持つ個人に与えられる「人間国宝」の対象に、和食の料理人や酒造りの職人(杜氏(とうじ))を加える方向で検討している。こうした食文化の担い手の確保への取り組みも、無形文化遺産の登録に向けた土台づくりとして、ユネスコの評価につながるだろう。

 日本酒については、国内消費量が伸び悩む中、輸出に関してはコロナ禍で20年は低迷したものの、19年まで10年連続で増加しているように、人気は定着している。最大の輸出先である米国との間で規制緩和の動きが進み、19年に発効した欧州連合(EU)との経済連携協定でも関税の段階的撤廃が盛り込まれた。

 コロナの収束を見据えた誘客への環境づくりを進める意味で、北陸の酒造業界も、無形文化遺産登録の動きと相まって、輸出戦略に一段と力を入れたい。海外の評価の高まりは、日本酒の価値を見直す契機になり、国内需要の回復にも好影響を与えるはずである。