今日の社説

2020/04/06 00:39

大麻摘発最多 北陸の増加を阻止せねば

 大麻事件の摘発者増加に歯止めがかからない。警察庁のまとめでは、昨年の全国摘発者数が6年連続で増えて4千人を超え、過去最多となった。特に10代と20代で悪化が目立っており、安易な好奇心で手を出してしまう若年層の姿が透けてみえてくる。

 北陸も憂慮すべき増加傾向にある。昨年の摘発者は富山県が23人で過去10年で最多を記録し、このうち29歳以下は18人、未成年者は9人に上る。石川県も過去10年で最多の30人となり、10~30代は27人を数える。誘惑の多い都会の話でなく、私たちの郷土で若者に広がりを見せる事態を深刻に捉え、増加傾向を食い止めねばならない。これまでも学校と警察が協力して薬物防止の啓発活動を実施しているが、取り組みを一層強化させたい。

 大麻は、薬物乱用につながる「ゲートウエー(入り口)ドラッグ」の一つといわれ、使用をきっかけに覚醒剤など、より中毒性や副作用の強い薬物に進む人も少なくない。罪意識の低さが手を染める動機になっているのであれば、有害性や危険性を周知して意識を改めさせることが必要だ。

 薬物に対する若者の甘い認識を示すデータがある。一昨年、国立精神・神経医療研究センターが約7万人の中学生から回答を得た全国調査で、大麻や覚醒剤、危険ドラッグの使用を「全く構わない」「少々なら構わない」と考える生徒が増えていることが分かった。特に大麻は2年前の1・5%から1・9%と他の薬物よりも伸びた。学年が上がるほど薬物容認の割合が高くなる傾向もみられた。

 罪悪感を薄くさせる要因にインターネットの影響も指摘されている。「合法とされている海外の国もあり害は少ない」「大麻は依存性がなく、いつでもやめられる」などの誤った情報がネット上で流れ、鵜呑みにする若者が多いという。それを防ぐためにも薬物の怖さを正しく伝えることが欠かせない。中枢神経系に作用する大麻は手足のまひや幻覚を引き起こし、記憶力を低下させるなど知能にも障害をもたらす。呼吸器疾患も起こしやすくなり悪影響は大きい。家庭でもしっかりと教育したい。

春の交通安全運動 コロナ禍でも往来減らぬ

 きょうから春の全国交通安全運動が始まる。例年、新年度がスタートするこの時季に合わせて各地で行われる啓発活動が、今年は北陸でも新型コロナウイルスの感染拡大防止により規模を縮小したり、中止にしたりするところが見られる。行事が自粛されても新生活が始まる1年の節目を迎え、ドライバー各自が交通安全に対する自覚を高め、事故のない地域社会の実現に努めたい。

 社会全体では新型コロナの感染を懸念して外出を控えるムードが広がっている。本来、大勢が花見に繰り出す時節だが、幹線道路の交通量は例年より混雑していないように見える。北陸でも不要不急の外出を避けるように心掛けている人もいるだろう。総じて交通量が減れば、事故の確率が低下するかもしれない。

 だが、コロナ禍にあっても、生活圏内では車の利用は減らないのでないか。ドライバーは自粛ムードに気を緩めることなく、安全運転の心構えを持ちたい。密閉、密集、密着を避けたいとして、これまで公共交通機関を利用していた人が通勤のほか、仕事上の移動でも車を利用する機会が増え始めたという。通院や買い物に出る高齢者も同様の傾向が見られる。北陸鉄道がバス運転士から感染者が出たことから所属していた野々市営業所の担当路線を運休や減便したことも車の利用増につながるとみられる。

 外食産業ではドライブスルーなどの持ち帰りや宅配、通販サービスが急増している。車の往来が顕著に減っているのは観光地や主要施設などの周辺であって、生活路線はかえって増える傾向にあっても不思議でない。

 今年に入り富山、石川両県とも交通死亡事故が多発傾向にある。3日時点で、富山は前年同期に比べ4人多い10人で、このうち3人はスーパーへの行き帰りの途中にはねられた高齢者だった。石川は10人増えて15人となっている。

 新入生たちが街にあふれる週の始まりでもある。ハイペースにある死亡事故の流れを断ち切りるためにも、この運動期間を機に気を引き締めて運転してもらいたい。