今日の社説

2020/07/02 00:28

ながら運転 自粛明けの移動増に要注意

 携帯電話などを使いながら車を走行させる「ながら運転」の罰則が強化され、5月までの半年で、摘発件数が全国的に大きく減少した。北陸でも前年同期に比べ富山で57%、石川で76%の大幅な減少となった。これに伴い、ながら運転による交通事故も減っており、厳罰化による違反抑止効果がこの間の事故防止につながったとみられる。

 ただ、最近では新型コロナウイルスによる移動自粛の全面解除を受け、自動車による広域移動が増加傾向を示している。運転中の画面注視や通話は「つい」やってしまいがちな日常行為だけに要注意である。先に道交法改正で厳罰化された「あおり運転」も含め、あらためてドライバーに、自粛解除の緩みに注意し、安全運転のマナーの順守を呼び掛けたい。

 昨年12月の道交法改正に伴い、携帯電話などで通話したり、カーナビなども含めて画面を注視したりした場合、罰則として新たに「6月以下の懲役」が設けられ、反則金や違反点数は、3倍程度に引き上げられた。事故はもちろん、信号無視や一時不停止を含めて、交通の危険を生じさせる違反の罰則はさらに重くなったことを運転者一人一人が肝に銘じたい。

 富山県内の摘発件数は、昨年12月から半年間で2261件(前年同期5255件)、石川県内では1866件(同7911件)と大幅に減少した。携帯電話やカーナビの使用者が過失割合の高い第1当事者となった人身事故は、富山が11件(前年同期29件)、石川が13件(同21件)と、これも大きく減少した。厳罰化と関係機関などの啓発活動の成果であろう。

 国土交通省のまとめでは、全面解除されてから初の土日となった先月20、21日、高速道路の交通量は、20日が前年同期比83%で前週に比べ13ポイント増加し、21日は前年比84%で、前週から24ポイント増えるなど利用が回復基調にある。

 警察庁によると、車は1秒間に時速40キロで約11メートル、時速60キロで約17メートル進むという。高速道路上ではさらにその距離は増すだろう。わずか数秒間、前方から目を離すだけで大事故につながることを、ドライバーに周知していきたい。

ふるさと納税訴訟 制度の原点回帰促す司法

 ふるさと納税の新制度をめぐる訴訟で最高裁は、大阪府泉佐野市の主張を認め、国側の逆転敗訴となった。泉佐野市を制度の対象から除外した総務省のルール自体を違法とした厳しい判決であり、国側は速やかに誤りを正さなければならない。

 最高裁は一方、高額な返礼品で多額の寄付金を集めた泉佐野市の手法をも批判した。大阪高裁と最高裁の判決は正反対となったが、どちらもふるさと納税制度の原点に立ち返り、地方創生に資する本来の制度運用に努めるよう国、自治体に促すものである。

 ふるさと納税は行き過ぎた返礼品競争で、制度の趣旨がゆがめられたため、総務省は2019年の地方税法改正で、返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」とするなどの基準を定め、それに適合した自治体を総務相が制度対象に指定する仕組みにした。

 総務省は法改正に基づいて19年4月、制度の対象となる自治体を指定する際のルール、要件を定めた告示を出し、その中に、法改正前の18年11月からの返礼品状況もみて指定の可否を判断する規定を盛り込んだ。

 返礼品の適正化を求める過去の通知に従わなかった泉佐野市などを念頭に置いたもので、同市はこの規定に基づいて指定から除外された。しかし、法改正前の返礼品が不適切だったという理由で指定しないのは、事後法で過去の行いを裁くのに似ていて、最高裁は募集要件を定めた告示そのものを違法と判断した。

 2008年に始まったふるさと納税制度は、生まれ育ったふるさとや世話になった地域、応援したい地域に寄付し、まちづくりを支援する趣旨である。寄付金に見合った税控除を受けられるため、税の使い方を国民が選ぶことにもなる画期的な制度である。

 各自治体が寄付金で応援してもらえる地域づくりを競い、結果として都市部から地方への財源移譲にもなり得る。返礼品の過当競争の背景には、地場産品に乏しい自治体の悩みもあり、今回の訴訟を契機に、より良いふるさと納税制度をめざしてほしい。