今日の社説

2019/12/05 00:34

子どもの読解力 「スマホ依存」が低下の一因

 世界79の国と地域で15歳、60万人超を対象として2018年に実施したPISA(国際学習到達度調査)結果で、日本の高校1年生の「読解力」は前回より順位を下げ、過去最低に並ぶ15位となった。本や新聞など紙の媒体を読む機会が減ったことが大きな要因だろう。

 今年度の全国学力テストで、富山、石川両県は、小学校6年と中学3年の成績が全国でトップクラスだった。だが、高校生になっても好成績を維持できているのか、肝心の読解力が身に付いているのか、不安がよぎる。

 東北大加齢医学研究所長の川島隆太教授が、2万人2千人の中学生を対象にスマートフォンと成績の関係を調べたところ、自宅で勉強をする、しないに関係なく、スマホを使う時間が長い生徒の成績が悪いことが分かった。勉強時間の長さが同じ子どもでも、スマホの利用時間が長いほど成績は落ちるケースが多いという。

 厚生労働省によると、スマホなどを使ったオンラインゲームや会員制交流サイト(SNS)の普及により、病的なインターネット依存が疑われる中高生は5年間でほぼ倍増し、全国で推計93万人に上る。高校男子の13・2%、女子の18・9%が該当し、その5割が成績低下を実感していた。

 情報を正確に読み取り、説明する力は、ゲームやSNSでは身に付かない。スマホに依存する子どもたちは、読み書きが短文ばかりになり、深い思考力や想像力が育ちにくいからだろう。スマホに多くの時間を費やし、本や新聞などの活字に親しむ時間が減り続けていることが読解力低下の要因になっているのは間違いあるまい。

 PISAの結果でも、読書習慣のある生徒の方が平均点が高く、小説や新聞などを月数回以上読む生徒の平均点は、そうでない生徒より高かった。2020年度からの新学習指導要領は、主体的・対話的で深い学びの視点から、言語能力、情報活用能力育成のための指導の充実をうたっている。

 学校や家庭に限らず、社会全体でスマホに費やす時間を減らし、活字に振り向ける取り組みが必要な時期に来ているのではないか。

温室効果ガス削減 現行目標どう達成するか

 地球温暖化対策を進める国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が、スペインで始まった。温暖化対策の「パリ協定」が来年から本格実施されるのを前に、まだ決まっていない温室効果ガス削減量の国際取引ルールなどを協議するのが主な目的であるが、国連のグテレス事務総長は、温暖化の影響とみられる災害の続発に強い危機感を示し、各締約国が掲げる目標の「野心的見直し」を求めた。

 パリ協定では、温室効果ガスの削減目標と対策を5年ごとに見直し、強化していくことになっており、日本も目標の引き上げを迫られている。が、政府は当面、目標を据え置く方向である。

 日本の現行計画は、温室効果ガスの排出量を2030年度までに13年度比で26%削減することを目標にしている。その前提となる電源構成は、現在約80%の火力発電を56%程度(石炭26%、LNG27%、石油3%)に抑え、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%とする。政府は東日本大震災後のエネルギーミックスと整合した実現可能な目標としてきたが、原発の再稼働が思うように進んでいないことなどから、達成は困難とみられている。

 環境省の速報によると、18年度の温室効果ガス排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で前年度比3・6%減の12億4400万トンとなった。1990年の統計開始以来、最も少ないが、13年度比では11・8%減にとどまる。現状では、目標引き上げの前に、まず現行目標を確実に実現する道筋と方策を示さなければなるまい。

 政府は今年、国連に提出した地球温暖化対策の長期戦略で、温室効果ガスの排出をゼロにする「脱炭素社会」を、今世紀後半に実現するとの目標を打ち出した。欧州主要国が「脱石炭」を目指す中、CO2の回収・貯蔵技術を導入しながら石炭火力発電を利用する道も残している。日本の石炭火力は高効率であり、安価で安定した発電方法として途上国にも必要との判断であるが、そうした方針が信頼されるには、CO2削減を実績で示していく必要があろう。