今日の社説

2020/04/10 00:29

コロナ詐欺増加 巧妙化に自衛意識高めたい

 新型コロナウイルスに便乗した詐欺が目立ち始めているとして富山、石川両県警をはじめ関係機関が注意を呼び掛けている。「補助金がでる」を誘い文句に印鑑やキャッシュカードを用意させたり、厚生労働省の調査を装いクレジットカードの番号を聞き出したりするなど、手口が巧妙化しているのが特徴である。

 この難局を乗り切るために国民の協力と結束が問われている中で、社会不安につけこむ悪質な犯行が横行することに怒りを覚える。ウイルスの感染防止策はもちろんだが、心の動揺に乗じ言葉巧みにだます詐欺が増えている現実に目を向け、犯罪から身を守る自衛意識を高めたい。富山、石川両県とも今年に入り、おれおれ詐欺など特殊詐欺が多発している。特に被害に遭っているのが高齢者であり、孤立しないよう地域で声掛けして注意喚起に努めてほしい。

 金沢市では80代女性宅に市職員をかたる電話がかかり、「還付金があるが、コロナの影響で渡せない」として口座番号を聞き出そうとしたという。全国の消費生活センターでは同様の詐欺に関する相談が1万件を突破しており、関係機関はさらに増えるとみている。警戒を強める必要がある。

 同センターへの相談には「検査キットを送った」「保険に入っていると見舞金がでる」などとする電話や、児童に「ウイルスの調査をしている」「ウイルスに効くヨーグルト味のあめをあげる」などと声をかける不審者の報告があるという。金銭に限らず、子どもたちが狙われている点も心配だ。

 また、厚労省が通信アプリLINEの利用者に新型コロナに関し発熱やせきの有無を尋ねた調査を実施したところ、同調査を装いクレジットカードの番号などを聞く詐欺とみられる事案が発生しているとして注意を促している。

 疑わしいケースは多岐にわたる。外出を控えて自宅で過ごす時間が増えているが、知らない番号の電話にはすぐ出ず留守番電話を活用するなど家族で確認し、心構えを持ちたい。デマに流されない、ストレスをためない、感染者を中傷しないなど気を付けるべき点についても話し合っておきたい。

武漢の封鎖解除 研究情報の公開・共有を

 世界で最初に新型コロナウイルスの感染が拡大した中国の武漢市で、1月23日から実施されていた封鎖措置が解除された。習近平指導部は、感染が再び拡大する事態を警戒しながら、新型コロナの抑え込みに成功したことを国内外に印象づけている。

 自動車産業の一大拠点である武漢市の産業が動き出すことは朗報と言えるが、感染実態に関する中国の情報開示の不透明さは依然拭えない。封鎖解除を受けて、米国務省が武漢のウイルス研究機関が持っている情報の共有を呼び掛けているのはもっともである。ワクチンや治療薬の開発、有効な治療方法の確立に必要なことであり、中国はこの国際的要請にこたえなければなるまい。

 新型コロナウイルスについて、北京大の研究チームは1月、コウモリと別の動物がそれぞれ持っていたコロナウイルスの遺伝子が混ざって新型が生まれ、さらにヘビを介して人間に感染したとの分析結果を発表している。が、その起源や分子構造などは解明されておらず、人為的に作製されたといった見方もネット上に流された。

 こうした「陰謀説」に根拠がないことは欧米の研究者らも論文で発表しているが、武漢を感染源と明言する米政府に対して、中国側は「米軍が持ち込んだ」などと言い出し、非難回避の宣伝戦に躍起の状況である。こうした対立は、国際協力が必要なウイルス研究の妨げとなるだけである。

 中国側は「武漢での素早い対応が、他国の防疫のために貴重な時間を稼いだ」と自賛し、国際社会は感謝するべきといった態度であるが、武漢のウイルス研究機関や医療機関が集めた情報やデータを公開し、ワクチンなどの開発に貢献してこそ感謝されよう。

 武漢の封鎖解除に関しては、無症状の感染者が移動することで、感染が再爆発する懸念が付きまとっている。もしそうなれば、初動ミスで国際批判を浴びた習指導部は、政治的にさらに大きな打撃を受けることになる。そのため、未公表だった無症状感染者数も4月1日から発表して警戒を強める姿勢も見せている。