きょうのコラム『時鐘』

2019/12/14 01:15

 プラスとマイナスは1枚(まい)の紙(かみ)の表(おもて)と裏(うら)。与党(よとう)の税制大綱決定(ぜいせいたいこうけってい)の舞台裏(ぶたいうら)を検証(けんしょう)した記事(きじ)を読(よ)みながらそう痛感(つうかん)した

例(たと)えば「未婚(みこん)ひとり親(おや)の支援(しえん)」の顛末(てんまつ)はこうだった。ひとり親世帯(せたい)には所得税(しょとくぜい)や住民税(じゅうみんぜい)が軽減(けいげん)される寡婦(かふ)(寡夫(かふ))控除(こうじょ)があるが、未婚の親は対象外(たいしょうがい)だった。「それは時代遅(じだいおく)れだから」と適用拡大(てきようかくだい)の声(こえ)が出(で)た。一方(いっぽう)で「適用拡大は未婚を助長(じょちょう)する」との反対意見(はんたいいけん)が押(お)し返(かえ)す

先日(せんじつ)、富山市議会(とやましぎかい)であったやりとりも考(かんが)えさせられた。「健康寿命(けんこうじゅみょう)が延(の)びると短期的(たんきてき)な医療費(いりょうひ)は減っても、生涯(しょうがい)医療費は増(ふ)える」との考えをどう思(おも)うかとの問題提起(もんだいていき)だった。元気(げんき)で活躍(かつやく)できるための予防医学(よぼういがく)に光(ひかり)をあてれば「明(めい)」となり、長生(ながい)きすると金(かね)がかかる側面(そくめん)を強調(きょうちょう)すれば「暗(あん)」

視点(してん)が変(か)われば長寿社会(ちょうじゅしゃかい)の評価(ひょうか)も変わる。人生(じんせい)100年(ねん)時代(じだい)の光(ひかり)と陰(かげ)である。家族(かぞく)の形(かたち)も多様(たよう)化(か)している。過去(かこ)には考えなくてよかったことに悩(なや)まなくてはいけない。年(とし)の瀬(せ)にはそれらがことさら身近(みぢか)になる

「少(すく)ない預金(よきん)」と「長(なが)い余生(よせい)」のバランスが取(と)りにくい人生の師走(しわす)である。いや、これはいつの世(よ)も同(おな)じ悩みか。