富山新聞社より | 富山新聞社

きょうのコラム『時鐘』

2018/08/22 01:06

 郷土(きょうど)からの出場校(しゅつじょうこう)が姿(すがた)を消(け)して、興味(きょうみ)が薄(うす)れてしまった甲子園(こうしえん)だったが、最後(さいご)の試合(しあい)だけは気(き)になった。周囲(しゅうい)に生(う)まれた「にわか金足農(かなあしのう)ファン」に、あおられてしまった

大(たい)会(かい)屈指(くっし)の投手(とうしゅ)が奮闘(ふんとう)し、負(ま)けじとナインも「雑(ざっ)草魂(そうだましい)」を発揮(はっき)する。全(ぜん)員(いん)が秋田出身(あきたしゅっしん)という正(しょう)真正銘(しんしょうめい)の地元(じもと)チームが多(おお)くのファンを引(ひ)きつけた、と記事(きじ)にあった。野球(やきゅう)に限(かぎ)らず、プロ注目(ちゅうもく)の金(きん)の卵(たまご)たちが県境(けんきょう)を越(こ)えて強豪(きょうごう)校に集(あつ)まり、熱(あつ)い注目(ちゅうもく)を集める時代(じだい)である。郷土代表(だいひょう)の色(いろ)が薄れる大会で、ふるさとの期待(きたい)の塊(かたまり)のような選(せん)手(しゅ)たちが快進撃(かいしんげき)を見(み)せた

が、にわかファンの期待(きたい)は、あっさりしぼんだ。誰(だれ)も予想(よそう)しない劇的(げきてき)なドラマの舞(ぶ)台(たい)になる甲子園は、時(とき)に非情(ひじょう)な幕切(まくぎ)れも用意(ようい)する。たくましく映(うつ)ったふるさと育(そだ)ちの「雑草魂」も、鍛(きた)え抜(ぬ)かれたエリート集団(しゅうだん)の前(まえ)に屈(くっ)した

高校生(こうこうせい)に「雑草」呼(よ)ばわりは、非(ひ)礼(れい)に過(す)ぎようが、踏(ふ)まれてもめげぬ強(つよ)さを誇(ほこ)るのが名(な)も知(し)らぬ草(くさ)である。誇らしい愛称(あいしょう)として、記憶(きおく)にとどめた

東北(とうほく)に負(ま)けず北陸(ほくりく)でも、そんなふるさとの草が盛(さか)んに芽吹(めぶ)き、晴(は)れ舞台で大声援(だいせいえん)を集めてほしい。