きょうのコラム『時鐘』

2020/10/22 00:59

 ベトナムではマスクなしで首脳同士(しゅのうどうし)が記念撮影(きねんさつえい)をした。インドネシアでは双方(そうほう)がマスク姿(すがた)。菅首相外遊(すがしゅしょうがいゆう)で見(み)たコロナ対策(たいさく)の違(ちが)いである

流行期(りゅうこうき)のはじめから、国(くに)によって感染症(かんせんしょう)対策に違いがあることは指摘(してき)されていた。握手(あくしゅ)や抱擁(ほうよう)など習慣(しゅうかん)も異(こと)なる。しかし、マスクをするかしないかの差(さ)はもっと興味深(きょうみぶか)いものがあった。政治体制(せいじたいせい)の違いやリーダーの個性(こせい)が浮(う)き彫(ぼ)りになるからだ

自分(じぶん)のことも振(ふ)り返(かえ)ってみる。当初(とうしょ)はマスクをした人(ひと)にあいさつされても、だれか分(わ)からないことが多(おお)かったが、最近(さいきん)は目元(めもと)を見ただけでだれか分かる。人間(にんげん)はある機能(きのう)を失(うしな)うと他(ほか)の感覚(かんかく)が発達(はったつ)する。この年(とし)でわが身体能力(しんたいのうりょく)が進化(しんか)?するとは思(おも)わぬ収穫(しゅうかく)である

この効果(こうか)は「部分(ぶぶん)」を見て「全体(ぜんたい)」を想像(そうぞう)することでもあった。偏(かたよ)った判断(はんだん)を生(う)むから危(あや)ういこともまま起(お)きるが「一事(いちじ)が万事(ばんじ)」で意外(いがい)と的(まと)を射(い)る。例(たと)えば政治家(せいじか)。マスコミの断片的(だんぺんてき)な情報(じょうほう)で築(きず)いたイメージと、実像(じつぞう)はそれほど変(か)わらない

コロナから色々(いろいろ)なことを学(まな)んだ。転(ころ)んでもただでは起きないのが人生(じんせい)のモットーだが、本当(ほんとう)を言(い)えば「転ばない」のが一番(いちばん)だ。