「幻の東京五輪」を記念した盃

1940年・幻の東京五輪記念盃 富山で出土、全国巡回

2019/05/30 02:24

 2016年に富山市総曲輪3丁目で発掘された「幻の東京五輪」の記念盃(さかずき)の陶片13点が6月以降、東京など全国5カ所の博物館で展示される。1940(昭和15)年開催予定だったが、日中戦争のため政府が開催を返上した五輪ゆかりの品で、五輪への期待感が地方に広まっていたことを裏付ける貴重な資料。県外での展示は初めてで、2020年の東京五輪を控え、注目を集めそうだ。

 

 富山市で発掘された「幻の盃」が展示されるのは、文化庁の「発掘された日本列島2019 新発見考古速報」で、近年注目の全国11遺跡の出土品とともに並ぶ。6月1日~7月21日の江戸東京博物館を皮切りに来年2月まで、花巻市博物館(岩手)、三内丸山遺跡センター(青森)、名古屋市立博物館(愛知)、大野城心のふるさと館(福岡)を巡回する。

 

 所蔵する富山市埋蔵文化財センターによると、盃は「幻の東京五輪」の記念品として美濃焼の産地・岐阜県多治見市で製作されたもので口径5・5センチ、底径2・1センチ、高さ3センチ。水色の染め付けが見られ、「ORINPIKU」の文字や五輪のマーク、日章旗、桜の絵があしらわれている。

 

 個人が完全な形で所有している例はあるが、出土品として発見された例はない。開催決定から2年後に中止が決まった五輪で、流通量が少ない可能性があるという。

 

 発掘は市埋蔵文化財センターが16年8~10月に旧富山西武デパート南西角のビル跡地285平方メートルで実施した。記念盃のほか、満州派遣凱旋記念の杯など昭和前期のちょこが破片で4510点見つかった。

 

 市埋蔵文化財センターの担当者は「貴重な品が富山で出土したことを知ってもらえる機会になる」と歓迎している。