鋳物を製造する従事者。高岡市の事業承継融資制度は利用ゼロが続いている=2018年、同市内

事業承継融資、利用ゼロ 高岡市が18年度に創設 高岡銅器など支援で

2020/04/22 01:32

 中小企業の事業承継を支援する高岡市の融資制度が、2018年4月の創設以来、利用実績がゼロであることが21日までに分かった。高岡銅器などの伝統産業を対象に県内で初めて設けられた制度で、昨年度から融資対象を製造業などに広げたが、利用はなかった。市は周知が足りないとし、事業者や金融機関向けの呼び掛けを強化する。

 

 制度では、中小企業の事業を引き継ぐ際、運転資金や設備資金を最大5千万円まで借りられる。金利は市の制度融資の中で最も低い1・3%以下に設定し、保証料は市が全額を支援する手厚い内容となっている。

 

 創設当初は、高岡銅器と高岡漆器、菅笠(すげがさ)の事業承継のみが対象だった。銅器と漆器は分業制が確立されており、一つの工程の職人が廃業すると、質の高い作品の制作に多大な影響を及ぼすため、歴史ある技術やノウハウの継承を守る狙いもあり、制度を設けた。

 

 伝統工芸に携わる市内の事業所数は減少傾向にあり、銅器の鋳造を手掛ける事業所は1985(昭和60)年の164から、2018年には50に減った。

 

 部品を接合する溶接は12から4、磨き上げる研磨は49から13、文字などを表現する彫金は45から16、着色は76から31と、ここ30年間で3~4割ほどになっている。

 

 減少の要因は、景気の低迷や需要減による経営不振に加え、後継者不在が大きく、業界関係者は、融資制度の利用がない原因も「使いたくても引き継ぐ人がいないのではないか」と話す。

 

 市は、伝統産業に限らず、昨年度から融資対象に含めた他の業種も後継者不足の状況は似ている可能性があるとみており、引き続き金融機関などで制度の周知を図るほか、68年から続く伝統工芸産業人材養成スクールや、他のセミナーなどで担い手の育成を進める。