樹木医の認定証を受け取る山口さん(左)=富山市内

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父の遺志継ぎ故郷の桜守る 黒部の山口さんUターン、樹木医に

2018/12/18 01:54

 桜の名所として知られる朝日町の舟川べりの桜並木や黒部市の富山県天然記念物「明日(あけび)の大桜」を守ってきた亡き父の後を継いで、山口大輔さん(30)=同市=が17日までに樹木医の資格を取得した。昨年、仙台市からUターンした山口さんは、父が愛し、多くの人に親しまれるふるさとの景色を守ろうと決意を新たにしている。

 

 舟川べりはソメイヨシノ約280本が植えられており、開花時期には冠雪の北アルプスや近くの畑に咲くチューリップが織り成すピンク、白、赤の「三重奏」の景色が見られる。年によっては黄色の菜の花の開花時期が重なって「四重奏」が楽しめる。

 

 黒部市宇奈月町明日の法福寺境内にある明日の大桜も、舟川べりと同じく富山さくらの名所70選に数えられている。

 

 山口さんの父の仁志さんは山口造園(黒部市)を営みながら、2004年12月に樹木医の資格を取り、昨年11月に58歳で亡くなるまで舟川べりの桜や明日の大桜の保護に努めた。

 

 山口さんは高校卒業後、信州大から東北大大学院に進み、温暖化が植物に与える影響を研究していた。仁志さんの病気が分かったのをきっかけに黒部に戻り、17年4月、山口造園に入社した。

 

 最初の1年は仕事をしながら、同大学院の生命科学の博士号を取得した。今年は父と同じように日本緑化センターが実施する樹木医の資格審査を受け、合格した。

 

 県内の樹木医は山口さんを含めて38人となる。日本樹木医会県支部では県内を4地区に分け、地元の樹木医を中心に各地区の樹木の診断や治療を行っている。山口さんは主に新川地区で、舟川べりの桜などを担当する。

 

 山口さんは17日、富山市桜橋通りの富山興銀ビルで、松井俊成県森林政策課長から認定証を受け取った。仁志さんと同い年だった山本栄同支部長が「父に代わり、新川地区の樹木を守ってほしい」と激励した。

 

 約60年前に植えられた舟川べりの桜は観光客が年々増えるだけでなく、土手に根を張り、防災の役目も果たしている。山口さんは「父が守ってきたものを自分も守れるように精進していきたい」と力を込めた。